近所のスーパー・山形屋ストアで子どもたちの絵にしばし釘つけになった話

『おばあちゃんのいえ』。下の真ん中の絵。

買ったものをマイバックに詰めようとして上を見上げたら一枚の絵に目がいった。

動物園のお猿さんの絵かなとタイトルを見たら驚いた!

『おばあちゃんのいえ』

檻(おり)と思ったものは家だった。

おさるさんと思ったものはおばあちゃんだった。

子どもの発想力というのは面白すぎる!

そこで他の絵もタイトルと一緒によく見てみたら、凄すぎてのけぞった。

『ママとやま』真ん中の絵。その上は『トマト』

お母さんが山と描かれている。

『だんごむし』『かぶとむし』

私には区別がつかない。

実は

幼児が物事を認知していく過程は興味深いと、前から関心を持っている。

最近親しい方々に「新しい発想に基づく大学作りにいよいよ動き出す」という謎のメッセージを送っているが、謎解きのちょっとしたヒントがこの幼児の発達過程の研究にある。

毎年、新しい年を迎えてしばらくして年頭所感のようなものを書いている。今年は株式会社シンクアップを起業して4年目になるので、当初から目標としてきた大学創設の動きを起こすという決意の文章に書いたのが「新しい発想に基づく大学」という謎のフレーズである。

私たちの中にはすでに構想はあるのだが、あえて何が新しい発想かは書いていない。そこに反応してくる人もいるのでティーザー(焦らし)効果はあるのかもしれないw

AI特にディープラーニングの中核をなすニューラルネットワークは人間の脳の仕組みを模したものと言われる。確からしさに重みをかけてそれを確率(特徴量抽出)にして判定していくもので、初期のAIの理論であるパーセプトロンがコンピュータチップの発展とともに処理速度も処理できる量も上がったので特徴量の抽出を多段階にして出来上がっている。もう多段の部分は人間にはわからないブラックボックスになっている。とにかく、何十万枚も何百万枚も犬と猫の絵を見て(たとえば耳の形、位置、ひげの形、位置、数などのいろいろな要素で分解して判定し、採点して間違いを修正して…)学習データを蓄積していくことで成り立っている。

※よくスパムメールの判定の例が上がるが、それがわかりやすい。はじめにバイアグラという言葉が入っていればスパムメールと判定するとする、すると中には本当に医学的なことに関するメールでスパムでないものもスパムと判定されることがある。これをその中にでてくる他のキーワードとの関係(出現率)をデータとして調べて、精度をあげていくという方法。これにベイズ式が使われたのでベイズ統計学がAIの分野で一躍有名になり、ずっと異端視されてきたベイズ統計学が陽の目をみるようになったのである。

今の第三次AIブームのけん引役はニューラルネットワーク(と誤りのデータを戻すバックぷろぱげーション)が元になった機械学習とその中に含まれる深層学習(ディープラーニング)であるが、私たち(株式会社シンクアップ)は、そこに直感的な方法が入れられるのではないかと考えている。もともとベイズ統計学は主観確率論といわれて、そこがこれまで、全く理解されてこなかった原因でもあった。ニューラルネットワークとは理論的に違うが、似た働きをするベイジアンネットワークがある。これが今のAIの数学部分。

注目しているのは子どもが犬と猫を区別するのにAIのように何百万回の学習をしていないこと。もっとはるかに少ない回数で区別できるようになっていく。特徴量の抽出といった分析的なアプローチではなく、もっと何か総合的(統合的)理解をしているはずだ。

このことが、私が見かけて衝撃を受けた幼稚園児(特に年少クラスくらいの)絵に秘密が隠されているように考えているわけです。かぶとむしとだんごむし。ママと山。

もちろんピアジェなどの心理学者がすで発達心理学の中で人間の認知へのアプローチは100年以上前にやっているし、シーモア・パパートはプログラミング言語LOGOの開発を通して子どもの発達心理学にアプローチしている。

それをなぜ日本で改めて研究が始められなければならないのか?

それが新しい発想の大学の肝ですが、統合的なアプローチのメッカ(?)は日本だからである。一言で言えば「悟り」のメカニズムの解明ができるのは、西洋の分析的な学問アプローチではなく、曼荼羅世界のような、あるいは禅的、あるいは俳句的な右脳発想(「閑さや岩にしみ入る蝉の声」、なぜあのうるさい蝉の声が静かさと融合できるのかと西洋人には理解できないという)の統合的な腑に落ちるように理解する(=分かる)ということの研究は日本でなされなければならないと考えているのある。

日本の風土に世界中から人材が集まって、統合的智慧によるブレークスルーがなされなければならないと考えている。そのことへの理解者を集めることを今年から始めるということが「新しい発想に基づく大学作り」という謎のフレーズの秘密の第一の鍵だ。第二も鍵についても次に書いていく。