前回からの続きです。

 

 私立大学は規模によって大規模大学(収容定員8000名以上)、中規模大学(収容定員4000人以上8000人以下)、小規模大学(収容定員4000人未満)と3つに分けられますが、まずこの3層を境にして、それぞれのクラスターには大きな差があると思われます。そして、それぞれの境目で起こる小さな変化が、全体に大きな影響を与えます。

 

 複雑系の科学でいうところのバタフライ効果(>力学系の状態にわずかな変化を与えると、そのわずかな変化が無かった場合とは、その後の系の状態が大きく異なってしまうという現象。カオス理論で扱うカオス運動の予測困難性、初期値鋭敏性を意味する標語的、寓意的な表現である。)のようなことが起こります。

 

学生募集の場合、ファクターが多すぎて、一つの外部要因の変化や広告やイベントなどのキャンペーンの効果を測定することは、困難ですが、確かなことは、大規模大学の入試別獲得目標が変わるだけで、日本全体の入試の様相は変わってしまいます。

 

 最近では学生の都市圏への集中を避け、地方を活性化するためにとられた定員抑制政策が思い出されますが、果たして地域起こしということへの貢献があったのかはわかりませんが、ブロック内の小規模大学の定員割れ解消には一時的に貢献しました。その時に、次を見据えて大学改革を行うべきでしたが、どうもそれができた大学は少なかったようです。それよりも、大きな規模でコロナ禍がやってきましたので、学部によっては大きな痛手をおいました。それが、昨年、今年の定員割れ大学の増につながっているようです。といっても、皮肉なもので、地方大学ではコロナ禍の影響で他県への流出が減り、受験生が若干増加した大学もみられます。大学の分散化を進めたのは大都市圏大学の定員抑制策ではなく、自然災害であるということです。これはデータで実証する必要がありそうです。

 

・定員抑制策は学生の地方分散化と大規模大学の教育の質向上に貢献したか

・コロナ禍で地方分散が進んだか、オンライン教育は教育の質向上や教育方法の転換に寄与したか

 

受験業界で言われていることと目の前の自大学のミクロなデータの変化に違いが起こっていないかという視点で見ていき、仮説を立てること、それを検証することで受験生のニッチなニーズをつかみます。

 

年内入試の結果が出始めた今は大学関係者は自大学と自分の将来について関心が高い時期で、SNSでの本音の発信も垣間見えるます。しかし、言っているだけではだめで、まず動き出さなけれなりません。

 

学生募集を成功させるためには、TOPの意識改革と教職一体の組織改革がないとうまくいきません。出発点でをこれをやらないとほぼ失敗します。

 

小規模大学は、TOPが動けば小規模だけに小回りが利きます。改革のスピードも上げられます。危機の時代には案外有利なのです。

 

続く

 

 

 

参考

令和4年文部科学省大学規模別一覧

https://www.mext.go.jp/content/20230322-mxt_jyohoka01-100012481_21.pdf

 

 

 

 

昨日書いたことの続きです。

 

相転移について書きました。引き続き、そのアナロジーで考えてみます。

 

水の状態で例えると自由度が固体、液体、気体では違います。

 

このことからもう少し進んで考えてみます。

 

水の状態図

 

 

 

高校で習う物質の三態図です。固体相、液体相、気体相で水分子のふるまいは劇的に変わります。

 

水分子の構造

 

 

 

これと同じように、大学全体は、成り立ちや歴史、建学の目的などによって、独自の発展をしてきました。しかも大学誕生以来、数は増え続け、形態も多様化しています。志願者と受け入れの需給のバランスも大きく変化しました。

 

それを大学の属性あるいはペルソナごとにカテゴライズしてクラスター化できたとして、それぞれのクラスター間には、相とも呼べる状態の大きな違いがあるのではないかというのが、今回の私の発想の出発点です。

非階層的手法のイメージ図

ところが、大学の募集戦略を語るときに、この状態の違うクラスター(簡単には大規模大学と中規模大学そして小規模大学)を区別せずに語られることが多いのです。そしてボリュームゾーンである中規模大学が取っているマーケティング戦略があたかも小規模大学でもとるべき戦略のように語られます。もっと言うと、広告媒体社(教育情報会社とも言いますが)は、同じフォーマットの商品を売る方が楽に収益を上げられますから、小規模大学に個別に向き合ってくれません。

 

小規模大学の場合は、その小回りを生かした対面プロモーションに力を入れるべきです。きめ細かな訪問やイベントなどを行うのが有効です。その際、今ならCRM を取り入れたone on oneマーケティング手法がベスト、そしてこれが事務DXになりますので、構築には文科省の補助金が活用できます。

 

まだまだ小規模大学の募集戦略についてはやれることが残っています。小規模大学でうまくいっている事例を、徹底して研究すれば、勝ち筋が見えてくるはずです。

 

次は、勝ち筋について書いてみようと思います。

 

 

 

 

 

11月は年内入試の山場

どこの大学も推薦入試が行われています。

どうもますます二極化しているようです。

X(エックス、旧ツイッター)を見ていると「吐き気がするほど集まっていない」というツイートがある一方「志願者が集まりすぎて処理が間に合わない」という大学もあります。

 

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水は温度によって氷(固体)から水(液体)へそして水蒸気(気体)へと状態を変化させますが、この変化のことを相転移と呼ぶのだと思いますが、いま大学界隈で起こっていることをあえて相転移と表現してみたくなったのです。

そこでChatGPTに聞いてみました。


私>相転移とはどのような現象ですか。文章で比ゆ的に使うときには、どんな状態を指すと思いますか

 

ChatGPT>相転移(Phase transition)は、物質が一つの状態(相)から別の状態に変化する物理現象です。この現象は温度や圧力の変化によって引き起こされます。代表的な例は、水が氷(固体)から液体(水)へ、または水蒸気(気体)へ変化することです。各相には独自の物理的特性があり、相転移はこれらの特性が劇的に変わる瞬間を示します。

文章で比ゆ的に「相転移」という表現を使う場合、通常は何かが根本的かつ劇的に変わる状態を指します。例えば、人の考え方や行動、組織の方針などが、ある一点を境に大きく変化する様子を表すのに用いられることがあります。この比喩は、何かが徐々に変わるのではなく、ある閾値に達した瞬間に大きく異なる状態に移行することを強調しています。

 

私>サンプルが二極化しているときに「相転移が起きているかも」と表現できますか。

 

ChatGPT>「サンプルが二極化している」という状況を「相転移が起きているかも」と表現することは、比喩的には可能ですが、正確性を重視するならば注意が必要です。

物理学における相転移は、物質の状態がある条件下で根本的に変化する現象を指します。例えば、液体が固体になる凝固や、固体が気体になる昇華などです。この現象は、物質の内部構造やエネルギー状態が劇的に変わることを意味しています。

一方で、データやサンプルの「二極化」とは、その分布が二つの極端なグループに分かれている状態を指します。これは、例えば意見調査で極端な肯定派と否定派に分かれる場合などに見られます。

比喩的には、サンプルが急激に二極化する様子を「相転移が起きているかも」と表現することで、その状況の急激な変化や劇的な違いを強調することができます。しかし、これはあくまで比喩であり、物理学の厳密な定義とは異なるため、専門的な文脈では誤解を招く可能性があります。比喩として使う場合には、その背景や文脈が明確であることが重要です。

 

私>具体的に相談します。今、日本の各大学で行われている推薦入試において、集まりすぎる大学と集まらない大学が出てきています。これは大学の入学難易度(あえて偏差値という表現は避けます)によって、上位層は推薦入試も好調、下位の大学は低調ということが起きているようです。二極化といえば、それでいいのですが、できれば、どこかの水準で相転移のようなことが起きているようにみえるので、相転移と表現したいのです。どう思われますか。

 

ChatGPT>この状況を「相転移」と表現することは、比喩として適切であり、非常に興味深い視点を提供します。日本の大学入試におけるこの種の二極化現象は、一定の条件(例えば入学難易度や大学のブランド力)が閾値に達すると、学生の集まり方が劇的に変化するという意味で、相転移の概念に似ています。

物理学における相転移は、ある閾値(例えば温度や圧力)を超えると物質の状態が根本的に変化する現象を指します。大学入試の文脈でこれを適用すると、あるレベルの評価(入学難易度)を超えた大学は、推薦入試において顕著に多くの学生を惹きつけ、それ以下の大学は顕著に少なくなる、という状況が「相転移」に例えられると解釈できます。

この比喩は、二極化が単に徐々に進行するのではなく、ある特定の点を境に急激に変化するという点を強調します。これは、大学選びの文脈で学生や親の認識や選好が、特定の評価レベルを境に大きく変わることを示唆しています。

ただし、このような表現を用いる際には、相転移が比喩であることを明確にすることが重要です。物理学の用語を借りることで、理解を促進すると同時に、誤解を招かないように注意深く用いる必要があります。

 

ChatGPTの答えは質問者にできるだけ寄り添うようなものになる傾向がありますが、このセッションでは、それだけでなく、参考になる答えが返ってきました。流石です。太字にした部分ですが、私は入試難易度だけを評価の基準に挙げたのですが、ChatGPTは「大学のブランド力」も上げています。また「大学選びの文脈で学生や親の認識や選好が、特定の評価レベルを境に大きく変わることを示唆しています」とより具体的に状態の大きな変化を起こす要因に「学生や親の認識や選好」をあげています。要因(ファクター)として認識(認知)や選好をあげているわけですが、そのほかに何があるかを掘り下げていくのも分析には役立ちそうです。

 

そこで、さらに質問してみました。

 

 

私>上記の回答で具体的に状態の大きな変化を起こす要因に「学生や親の認識や選好をあげていますが、そのほかの要因は考えられますか?
ChatGPT>日本の大学推薦入試における二極化現象に影響を及ぼすその他の要因を考える場合、以下の点が挙げられます:
  1. 社会的評価とメディアの影響: 大学のブランド力や社会的評価は、メディアやランキングによって形成されることが多く、これらの要因は学生や保護者の選択に大きく影響します。

  2. 卒業生の就職実績: 大学を選ぶ際、卒業後の就職先やキャリアの展望は重要な要素です。上位校は良好な就職実績を持ち、これが更なる学生の流入を促す可能性があります。

  3. 教育プログラムと研究実績: 質の高い教育プログラムや研究実績も学生の選択に影響を与えます。特定の分野で顕著な成果を上げている大学は、その分野に興味を持つ学生からの注目を集めることがあります。

  4. 奨学金や学費の問題: 経済的な支援が十分な大学は、経済的に恵まれない学生にとって魅力的です。奨学金の制度や学費の低さは、特定の大学に学生を惹きつける重要な要因になり得ます。

  5. 地理的な要因: 大都市圏やアクセスの良い地域に位置する大学は、地方の大学よりも多くの学生を集めやすい傾向があります。

  6. 学校のネットワークと推薦: 特定の高校と大学間の強いネットワークが存在する場合、その高校からの学生が特定の大学に集中することもあります。

これらの要因は、大学選択における学生や保護者の判断に影響を与え、結果的に大学間の二極化を促進する可能性があります。相転移の比喩を用いる場合、これらの要因が特定の閾値を超えることで、大学間の人気に急激な変化が生じると解釈することができます。

 

参考になりますね。ほぼマーケティングの4P戦略に沿った回答です。

<補足>
ChatGPT>4Pはマーケティングの基本的なフレームワークで、以下の4つの要素で構成されています:

  1. Product(製品): 提供する商品やサービスの質、特徴、デザイン、品質、ブランド名、包装などが含まれます。製品戦略では、顧客のニーズや希望を満たすために、どのような製品をどのように開発するかを決定します。

  2. Price(価格): 商品やサービスの価格設定、割引政策、クレジット条件、支払い方法などが含まれます。価格戦略は、製品の価値をどのように反映させ、競合他社とどのように差別化するかに焦点を当てます。

  3. Place(場所): 製品やサービスが顧客にどのように届けられるかに関する戦略です。これには、流通チャネル、物流、在庫管理、店舗の場所、オンライン販売戦略などが含まれます。

  4. Promotion(促進): 商品やサービスを市場に紹介し、販売を促進するための方法です。広告、セールスプロモーション、パブリックリレーションズ、ダイレクトマーケティング、ソーシャルメディア戦略などが含まれます。

これらの4Pは、マーケティング戦略を立てる際の基本となり、企業が市場で成功するために重要な要素です。それぞれのPは相互に関連し合っており、効果的なマーケティング戦略ではこれらを統合して考慮することが重要です。

 

これを大学の募集戦略に当てはめると

ChatGPT>大学の募集戦略に4Pマーケティングモデルを当てはめると以下のようになります:

  1. Product(製品): 大学での「製品」は教育プログラム、学位、カリキュラム、キャンパスの設備、学生サービス、留学プログラムなどです。大学はこれらを通じて、学生に魅力的な学習環境とキャリア展望を提供する必要があります。また、大学のブランドや名声も重要な要素です。

  2. Price(価格): これは授業料、追加費用、奨学金の可用性、学生ローンのオプションなどに相当します。価格戦略は、授業料の設定と奨学金の提供によって、教育のアクセシビリティと価値を決定します。

  3. Place(場所): 大学の場合、「場所」はキャンパスの地理的な位置、オンライン教育の提供、交通アクセスの良さ、学生寮の質と可用性などを含みます。キャンパスの場所やオンライン教育の利用可能性は、学生にとってのアクセスや魅力に大きく影響します。

  4. Promotion(促進): 大学の宣伝戦略には、オープンキャンパス、学校訪問、広告キャンペーン、ウェブサイトやソーシャルメディアを通じた情報提供、卒業生の成功事例の共有、学校説明会やキャリアフェアの開催などが含まれます。これらは、大学の知名度を高め、潜在的な新入生にアピールするために重要です。

大学がこれらの要素を効果的に統合し、潜在的な学生とその家族にアピールすることが、競争の激しい教育市場での成功の鍵となります。これにより、学生が大学を選ぶ際の重要な決定要因を理解し、対応する戦略を立てることができます。