ボルカー・ルールはどう働くか? | コラム | 大和総研グループ | 岡野 進
12月10日、米国金融当局(FRB、商品先物取引委員会、連邦預金保険機構、通貨監督庁、SEC)はいわゆるボルカー・ルールについての最終規則案を決定した。銀行規制の考え方としてのボルカー・ルールは、2010年に成立したドッド・フランク金融改革法に含まれており、今年12月を期限として最終案を練ることとなっていた。ボルカー・ルールは銀行と証券の分離というかつてのグラス・スティーガル法の時代に戻そうというわけではない。しかし、銀行に対して、自己勘定取引を制限し、デリバティブやファンド、商品先物の取引も規制することで、銀行の銀行勘定を金融市場の価格変動リスクに大きく晒さないことが目的となっている。その意味では、グラス・スティーガル法の目的と同様であるが、それを現在の金融ビジネスの現実と妥協した形で、つまり厳格な銀行と証券の分離までは求めずに、ルール作りを行おうとしたものである。

ボルカー・ルールは2014年4月1日に施行される予定であるが、FRBは適合期間を2015年7月21日に延長している。銀行等がルールへの対応のために対策を行っていく時間的な余裕は多少あるといえるだろう。

ドッド・フランク金融改革法は2010年に成立していたので、ボルカー・ルールについてそれから長期間にわたって協議が続けられていた。協議では言葉遣いについての議論が相当に行われていたと伝えられている。規制ルールにおける言葉遣いの違いにより実際の細則や規制の適用の実務においてかなり違った対応になる可能性があるので、慎重な検討がされたのであると思われる。


ネット界隈スピリチュアル系経済改革派とでも呼ぶべきあたりでささやかれているドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法が4月1日に施行されるという話。


ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法


あれ、ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法ってもう施行されてるだろうと思って調べてみた。案の定、読んでもわからない内容だ。

それで気を取り直して「ボルカールール 2014年4月」で検索してみたら、最初のPDFがヒット。

なるほどそういうことだったのだ。

4月1日からボルカールールが施行される。

これは事件だ!

・・・

もう少し調べてみないと実は私自身よくわかっていない。妥協の産物なの?でも「大きくてつぶせない」ということは言わせなくなるのかな。

ドッド=フランク法の正式名称は

「金融システムにおける説明責任および透明性を改善することにより合衆国の金融安定を推進するための、「大き過ぎてつぶせない」を終わらせるための、ベイル・アウトを終わらせることによりアメリカの納税者を保護するための、濫用的金融サービス実務から消費者を保護するための、ならびにその他の目的のための法律
(an Act to promote the financial stability of the United States by improving accountability and transparency in the financial system, to end "too big to fail", to protect the American taxpayer by ending bailouts, to protect consumers from abusive financial services practices, and for other purposes.)」

というかっこいい法律だ。

中身は長すぎてよくわかないが。

-------------
リーマンショックで逮捕されるべき人たちが逃げてきた。それは結局「大きくてつぶせない」というジレンマ。それがなんと6年も経ってなんとか実行に移るかもしれないという話。

確実に何かが変わる。

ロイターの昨年暮れの記事↓
情報BOX:ボルカールール最終案の概要 | Reuters
米規制当局は10日、銀行の自己勘定取引を規制する「ボルカールール」の最終案を公表した。

約800ページに及ぶ最終案は、銀行の自己勘定取引や利益追求を目的とする投機的取引を総じて禁じ、規制の中核部分を厳格化するもの。

この日に採決を行った連邦準備理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)の5機関すべてが承認した。全面実施期限は2015年7月21日となっている。


ここに至る舞台裏、少し知っておいた方がよさそうだ。