集中連載:シェルが描く、2つの“未来図”~「New Lens Scenarios」とは何か?【前編】 « WIRED.jp

シェルは、この膨大な情報の分析と議論からなる知的作業を40年間絶やさず続けており(つまり、シナリオ作成に携わる専門のプランナーを社内外に維持し)、2013年、5年ぶりに新たなシナリオ「New Lens Scenarios」を発表した。

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今回発表されたグローバルシナリオ「New Lens Scenarios」は、2060年までを視座とし、世界規模で、未来へ向かって社会・経済・政治・テクノロジーといった要素が変化していくさまを「2つのシナリオ」に分けて示している。それをふまえ、世界のエネルギー問題と環境問題がこの先どう展開していくのかを呈示する。2つのシナリオは、「Mountains」と「Oceans」と名付けられ、前者が政府の力が強く低成長な未来を描き、後者は、民衆の欲求と政治的な力が群発的に拡がる状況を暗示した内容である。


こうした未来予測がシェルによって40年もまえから作られていたことにまず驚くが、5年ぶりとなる今回のグローバルシナリオ「New Lens Scenarios」は実に興味深い。

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第一のシナリオがMountains。

まず「Mountains」では、国家の役割が大きく設定されており、とりわけ強調されているのが、2020年代以降におけるアメリカと中国の関係性だ。すでに強い国と、強くなる過程にある国からなる「G2」が利益を調整し合う関係(ただし体制が依拠する価値観は共有しない)が、世界に大きな影響を及ぼすことになる、とこのシナリオは語る。つまり、既得権をもつ者たちによる「ものごとをそのままにしておきたい」という思考が、引き続き世界のイニシアティヴを握るという予測である。


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第二のシナリオはOceans。

集中連載:シェルが描く、2つの“未来図”~「New Lens Scenarios」とは何か?【前編】 « WIRED.jp

もう一方のシナリオである「Oceans」では、どのような未来が描かれているのだろうか。

ここで語られる未来は、政府によるガヴァナンスではなく、市民社会、ネチズン、NGO、あるいはポピュリストといった集団がITによってエンパワーされ、自生的に秩序がつくられていく世界である。いわば「秩序なき秩序」。人々は、似た意見を共有する者同士で際限なくつながってゆく。利益ではなくヴァリューが共有されていく社会である。が、この世界では人々は実に移り気だ。SNS上の知り合いの言動にたやすく影響される。サステイナビリティは大事、それを目指す実践はもっと大事、その通り! 

だが、この社会にはこらえ性がないのかもしれない。関心ごとはうつろう。各国首相はポピュリズムに翻弄されてどんどん政権交代させられてしまう。人間社会の課題を長期持続的な努力をもって解決することができない社会。そんな状況が生まれるであろうことが暗示されている。



>「Oceans」のシナリオが示す通り、ITの存在によって今日人々が手にするパワーは、人類史に幾度か起きた民主化革命のどれにも増して、強力だといえるだろう。しかし同時に、「Oceans」のシナリオにある通り、その民主化の行き着く先が、必ずしもバラ色だとは限らない。

よく読むとエネルギー需給に関しては国家主義のMountainsの方が安定するというちょっと権力側=オイルメジャーに都合のよいシナリオに見えるが、はたしてどうなのだろう。

私は断然Oceans志向だ。これだけははっきりと表明しておきたい。

英語版ですが、全文読めます。
New Lens Scenarios 特設サイト

問題なのは昭和シェルのサイト、それらしいものが全然見当たらない。
昭和シェル石油株式会社