中国の防空識別圏:NYタイムズの社説
● 東シナ海の海域上空に新たに広域の防空識別圏を設定するという今回の中国の決定は、周辺の島々についての領土争いを穏便に解決したいという北京政府の主張 と矛盾している。今回の宣言は、緊張を高めて日本との直接紛争の可能性を上げる、極めて挑発的な動きであ る。   

● 先週の土曜日に、中国は尖閣諸島の上空に防空識別圏の設置を宣言したのだが、これによってこの空域に入ってくる航空機に身元照会を行わせ、さらにこれを行 わない機体にたいしては軍事行動をしかけることができるという権利を宣言したことになる。この無人の島々(しかもそのうちのいくつかは岩礁)は日本によっ て管理されているが、中国や台湾も領有を主張している。   

● 世界第二位と第三位の経済大国である中国と日本は、一年以上にわたってこの領有権についての主張を段々と激化させてきている。安倍晋三氏に率いられた超民 族主義的日本政府は扇動的であることが多いのだが、中国もこの海域における日本の領有権に挑戦するために沿岸警備船や航空機を増産することで地域の不安定 化に貢献している
私もつい最近見せた中国・習近平主席の軟化姿勢と矛盾していると思う。きっと何かが国内で起こっている、三中全会を前に立て続けに起こった国内テロがウイグル族など少数民族の犯行としているが、実際には習近平主席への漢民族内部からの反発であること、特に軍が強くなっていて、テロにも裏で糸を引いている節があることなどなど、が見え隠れしています。

さて問題は次の安倍政権にたいするNYタイムズ社説の見方です。

●ところが安部首相は、日本とアメリカにとっても危険になる可能性のある、過熱した言葉や中国にたいする積極的な姿勢にあふれた、極めて民族主義的な対外政策を追求している

● オバマ政権は、日本の安倍政権が中国との緊張を高めるような過度なリスクをとらせないようにしながら、同時に日本の国益を守る方法を探らなければならな い。前任者と同じく、オバマ政権は自ら発するメッセージを明確にしていないし、それが首尾一貫してなかったために、この姿勢を変える必要がある。

さて結論。

●ところが今のところ、最も問題なのは中国の態度である。とくに政府高官たちがさらに防空識別圏をさらに拡大させる可能性について否定していない点は問題だ。アメリカは中国に注意と自制を促し、日中二国が紛争への道に進まないように積極的に動いていくべきだ。中国が日本や他国の航空機がこの空域に侵入してきた時に本当に軍事行動をとるつもりなのかはまだ明確ではないが、紛争がエスカレートしてくれば、計算違いや勘違いのチャンスは高まるのだ。

● 今回の中国の行動は、来月のバイデン副大統領のアジア訪問に暗い影を落とすことになった。また、習近平主席が今年のはじめにオバマ大統領と築き上げたいと 言った「新しい大国関係」というものが一体どのような意味を持つものなのかということについても、新たな疑問を呼び起こすことになっている。
国内問題が外交、軍事政策に強く出ているとすると、何が起こるかわかりません。12月は荒れそうですね。