総合/グーグル、新聞社と広告収益で協議 - FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE

グーグル日本法人の辻野晃一郎社長は13日、都内で会見し、国内の複数の新聞社と広告収益の分配について協議している事実を明らかにした。

 グーグルは自社の検索サイト上で、新聞各社のネット配信記事の見出しを横断的に表示するサービスを提供しているが、基本的に新聞各社と契約などはしていない。そのため、新聞社からは契約で得られる収益を阻害しているとして、米国を中心に強い批判が起きている。


ついにこの動きが起こりましたね。かなり大きなニュースだと私は思います。広告収入減で経済的に痛手を受けているマスコミが動き出すでしょうから…。

このことは切り込み隊長こと山本一郎さんが『情報革命バブルの崩壊』(文春新書)でまさに指摘していることでした。

>米大手通信社のAP通信のディーン・シングルトン会長は6日、グーグルとの言及は避けたものの、「契約に基づかずにウェブ上で記事を利用する行為に対しては、法的措置も辞さない」などと述べていた。

>米国では広告収入の急速な減少を背景に、地方紙を中心に廃刊・休刊する動きが拡大。その要因の一つとして、グーグルのような検索サイトへの広告収益のシフトが指摘されている。

アメリカ発であるわけですが、日本でも早晩問題になると思ってましたが、ついにです。

日本では読売新聞が勝手に見出しを配信したとしてティッカーを訴えたということがあったのですが、その後はWEB2.0の流れで、むしろ情報を積極的に流すという方向に世の中が大きくうごきました。もちろん、記事の全文ではなく、RSSを配信してということですが、商用のポータルサイトでは記事全文が読めるようになったわけです。

Googleニュースの登場はまさに情報革命といえるもので、全国の数百の紙メディア(新聞、雑誌)企業のサイトあるいはテレビ・ラジオ会社のサイトから無料で配信を受けて、関連記事を自動的にまとめてナビゲーションして流すということが実現しました。

これは検索エンジンということを武器に力でなびかせた風がありました。誰も逆らえない、無償が当たり前であったわけです。

あたかも新天地が広がっているという幻想でインターネットインフラに湯水のようにNTTなど通信会社が資金を投入し、「無料文化」を創りあげてきたわけです。

これが「情報革命=チープ革命」とよばれるものでしたが、それは同時に検索エンジンGoogleがもたらしたという意味で「Google革命」と呼ばれました。

新聞社、テレビ局も「無料文化」のなかで、衰退していきます。

一方で「広告」の世界も安価でしかも効果が測定できるネット広告によって広告代理店やマスコミは大きな脅威を与えられています。広告の取扱高でいえば、1割なのですが、実は今までの「広告が高かった」ということに気がついたクライアントが出てきたわけで、景気後退を機に一気に従来の広告を出すことをやめ始めています。

この問題はもちろんグーグルだけではなく、他のポータルサイトも同じでしょう。

これぞ!WEB3.0でしょう。新しいフェーズの始まりです。

おもしろすぎる動きなので追いかけます。



情報革命バブルの崩壊 (文春新書)
山本 一郎
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おすすめ度の平均: 4.0
2 タイトルと内容がかけ離れているイメージをもった。読まなくても良かったかも。
2 話題豊富だが,ただ書き散らしているという印象
3 「新聞のあり方」が漠然としていて・・・
5 財務的視点の記述のところが面白い
3 いまさら、インフラ企業や新聞社を儲けさせろと言われても、時代錯誤もいいとこ♪


↑ レビューが面白いですね。新聞社がタダで情報提供していることにいまさらと書いている人が多いのですが、山本氏の指摘どおりの動きになってきましたね。

<追記>
どうも 引用した記事がfujisankei business-iから消えたようです。出しちゃまずかったのかな。

<追記2>
やはりというか、Google日本法人社長の勇み足会見だったでしょうか。Bloombergから出た記事が消えてしまいました。

それで仕方ないので、グーグルでbusiness-iの中を検索して見ましたら、4月10日の記事にアメリカでのシュミットCEOの発言記事が見つかりました。

Bloomberg/新聞、技術使い情報整理を グーグルCEO講演 - FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE

同CEOは、新聞社が多くの情報源から情報を集めるばかりでなくテクノロジー(科学技術)を利用すべきだと指摘。新聞社は、新しいテクノロジーによって、読者の興味をより引きつけられるように情報を整理することができるほか、ソーシャル・ネットワーキングの要素を加味することもできるという。同CEOが講演を行った前日、米AP通信は収益を分配せず、無断でウェブ上のニュースを集積する企業に対し、法的な措置を執る可能性を示唆していた。

 ウェブ上でニュースの集約を行っている企業の中には、グーグルやヤフーなどが含まれる。


 グーグルとAP通信との取引に関しては「とても、とても、うまくいっている」との考えを示し、AP通信と引き続き、ビジネスを続けたいと望んでいるとした。しかし、もしグーグル・ニュースに記事を載せたくないと思うのであれば、記事を削除できるとも付け加えた。

 シュミットCEOによれば、テクノロジーが進歩する中、新聞社は、コンテンツの利用に応じた少額の手数料を受け取るといったようなビジネスモデルを考慮すべきだという。


まあこの記事は消えないと思います。