某私立大学がディリバティブ損失で証券会社を提訴する方向 ――千代川宗圓 - 曹洞宗にもの申す
>昨日(10日)、私にある大学の理事長、学長、事務長から連絡があり、このブログで話題になっている駒澤大学の件を知り、どのように対処したらいいのか、という相談があった。この大学も、ディリバティブ取引で損失が発生していた。

久しぶりの大学のデリバティブ運用損の話題です。

「曹洞宗にもの申す」というブログに曹洞宗関係と思われる3大学の話題が出ています。駒澤大学、東北福祉大学、愛知学院大学ですが、かなり大学のガバナンスがこじれているようですね。

いずれにしても、受験業界では中堅に位置する駒澤大学の記者会見が与えた影響はかなり大きなものでした。

どこの大学も痛くもない腹(かどうかはわかりませんが)を探られて、いやな思いをしていることと思います。

特に「金融ビジネス」秋号には、運用損だけでなく、消費収支赤字のワースト50がすっぱ抜かれてしまいましたので、名前のあがった大学は戦々恐々といったところです。予測されたところでもありますが、意外な名前もありました。単年度で見ただけと逃げることは出来るでしょうが…。

運用損にしても名前が出たことで、有名になったと豪語している大学広報があるということを聞き、唖然としました。そんなに、甘くないですよ、広報は。

また「金融ビジネス」秋号は、大学のM&Aをメガバンクが主導しているという記事も具体的に載っています。さすが、金融関係の雑誌だと感心しきりですが、いやいや、感心ばかりはしていられません。

金融ビジネス 2008年 11月号 [雑誌]


大学、私立高校の経営状況はメインバンクには筒抜けで、そこが、買収案件、合併案件を大手大学に持ち込んでいるという構図は、まるで「地上げ」を見るようです。そう「地上げ」です。

ただ、今回の金融危機はそれに、警鐘を鳴らしているものであることをお気づきでしょうか。

規模の経済学で「大きい」ことのメリットを享受し、さらに大きくなろうとするマンモス大学。

しかし、確実に教育の質は低下することにお気づきですか。受験生を集めて、厳しい選抜をするというなら、いざ知らず、全学部入試という囲い込み戦術で、入学のハードルを限りなく低くしているのが現状。

リストラとダウンサイジングという方向を考えないと氷河期の恐竜のように動きがとれなくなるはずです。

少子化というファクターに景気後退(あるいは、その先の経済システムの変革)というファクターが加わった大学経営は、新しいフェイズに入っているのですが、意識はまだまだですね。

大きなニュースが太平の夢を覚ますことになるのでしょうか。

<追記>そうそう「金融ビジネス」秋号は、最後にいくつかのアンケートを大学に送った結果を載せています。アンケートに答えた大学の中で、「えっ」と思うような数字を回答している超有名大学があります。

このアンケートの問題は実は読売新聞が大々的に始めた「大学の実力」のアンケートでも明らかになったことです。大学の情報管理が全然出来ていないということを露呈するアンケート調査になったのですが、読売新聞をさらに、その調査を別刷りにして全国の高校に配ったりしています。

そこには、今までベールに包まれていた退学率の数字が堂々と書かれているのです。「退学率」の定義自体がはっきりしていない中に、数字だけが一人歩きを始めました。

これは衝撃的なことなのですが、広報で問題にする人をあまり知りません。

金融ビジネス 2008年 11月号 [雑誌]

¥1,700
Amazon.co.jp